降りしきる雪。
遮るものも何も無い中で雪にまみれていた。
いい加減、体の感覚が無くなりかけた頃、影が指す。
「再開のお祝い」
そう言って缶コーヒーを差し出したいとこ。

そんなオープニングでこの物語は始まる。

「Kanon」

主人公、相沢祐一は7年ぶりにその街にやってきた。
しかしその時の記憶はない。
ただ、酷くその街を嫌いになっていた。

いとこの少女とその友人達とすごし少しずつ新たな生活に慣れていく祐一はある日、商店街で一人の少女と出会う。
名前は月見あゆ。
祐一は心の奥底に眠った記憶の扉が開くのを自覚した。
あゆとは7年前に会っていた。
それから徐々に夢という形で祐一に記憶がよみがえってくる。
初めて会った日。
祐一の取って置きの場所である、森の中の大きな木の広場。
クレーンゲームで取った天使の人形・・・・・・。

祐一は天使の人形を自分にできる事なら何でも叶える人形としてあゆに三つ願いを言えという。
あゆは一つ目の願いを言う。
「ボクの事、忘れないで下さい」
二人はそれからも毎日会い続けた。
そして祐一が帰る日の三日前。
いつものお気に入りの場所で、
あゆは二つ目の願いを言う。
「祐一君と、一緒の学校に通いたい」
「分かった。ここを俺達の学校にしよう」

祐一はそこまで記憶がよみがえって違和感を感じていた。何かが自分に警告している。それがまだ、彼には分からなかった。

ある日、祐一はあゆの通っている学校を見たいと言い出す。あゆは快く承知して案内する。
しかしそこにあった現実は二人には過酷なものだった。
そこには切り倒された木の大きな切り株が残っているだけだった。その場所を、祐一は良く知っていた。
あゆはショックのあまりに駆け出し、祐一が見つけた頃には地面を掘っていた。
「探し物が、ある・・・・・・」
しかしその日は「探し物」は見つからず、あゆは祐一の前から姿を消した。

次の日、祐一は友人達の力をかりてあゆの探し物を見つける。
それは幼い日のあゆがタイムカプセルとしてうめた天使の人形だった。
それを持って思い出の地に行く。
祐一は既にこの時、全てを思い出していた。
この街をでる直前にあゆに会いに行った祐一を待っていたのは、大きな木に登っていたあゆが風に飛ばされ、地面に叩き付けられたという現実だった。
大好きな人がいなくなる時に何もできない自分。
その辛さに、祐一は心を閉ざし、記憶を封印した。

思い出の場所にあゆはいた。
祐一から天使の人形を貰って最後の願いを言う。
「ボクの事、忘れてください」
「俺にできない事はかなえられない」
言葉にできないほどの思いを胸に秘め二人は抱き合う。
二人の影は重なり、そして一つは消えた。

少し時が流れて祐一は普通に生活していた。
そこに家主であるいとこの少女の母親が言う。
「7年前に意識不明になった女の子が目を覚ましたらしいですよ」

そして二人の新しい時が始まる。
この、日だまりの街で。

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